【小説】それぞれの後悔 Episode 2

それぞれの後悔

病院の自動ドアが静かに開いた。

担架ではなかった。

救急隊員に肩を支えられながら、一人の少女がゆっくりと歩いてくる。

赤いギターを背負ったライカだった。

頬には乾いた血。

裂けた服の隙間から覗く包帯には、赤い血が滲んでいる。

その後ろには、もう一人。

同じように救急隊員に付き添われながら、薄紫の髪の少女が歩いていた。

三つ編みが印象的な少女だった。

モコはライカの姿を見つけた瞬間、胸を締めつけていた不安が一気にほどけた。

――ライカ……!

無事だった……!

よかった……。

本当によかった……。

だが、その安堵は一瞬だった。

脳裏によみがえる。

血に染まった白いシーツ。

動かない姉。

酸素マスク。

そして――鈴先輩の、潰れた左肩。

「……ライカ!」

「なんで姉さんを止めてくれなかったの!」

「姉さんを止めてって、お願いしたじゃない!」

「危ないって……分かってたのに!」

「どうしてライカまで戦ったの!」

――違う。

止められなかったのは私だ。

姉の一番近くにいた私だ。

だからライカに頼った。

自分が止められなかったくせに。

その後悔を――ライカへぶつけてしまった。

「ち、違うの……」

「私……最低だ……。止められなかったのは……私なのに……。」

看護師は何も言わない。

ただ静かに、背中をさすり続けた。

ライカは小さく頷いた。

歩き出す前に、一度だけ振り返る。

看護師に支えられ、泣き崩れるモコ。

ライカは小さく目を伏せた。

何も言わない。言えなかった。

紫音もまた、その光景を静かに見つめていた。

待合室には、モコの嗚咽だけが静かに響いていた。

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