病院の自動ドアが静かに開いた。
担架ではなかった。
救急隊員に肩を支えられながら、一人の少女がゆっくりと歩いてくる。
赤いギターを背負ったライカだった。
頬には乾いた血。
裂けた服の隙間から覗く包帯には、赤い血が滲んでいる。
その後ろには、もう一人。
同じように救急隊員に付き添われながら、薄紫の髪の少女が歩いていた。
三つ編みが印象的な少女だった。
モコはライカの姿を見つけた瞬間、胸を締めつけていた不安が一気にほどけた。
――ライカ……!
無事だった……!
よかった……。
本当によかった……。
だが、その安堵は一瞬だった。
脳裏によみがえる。
血に染まった白いシーツ。
動かない姉。
酸素マスク。
そして――鈴先輩の、潰れた左肩。
「……ライカ!」
「なんで姉さんを止めてくれなかったの!」
「姉さんを止めてって、お願いしたじゃない!」
「危ないって……分かってたのに!」
「どうしてライカまで戦ったの!」
――違う。
止められなかったのは私だ。
姉の一番近くにいた私だ。
だからライカに頼った。
自分が止められなかったくせに。
その後悔を――ライカへぶつけてしまった。
「ち、違うの……」
「私……最低だ……。止められなかったのは……私なのに……。」
看護師は何も言わない。
ただ静かに、背中をさすり続けた。
ライカは小さく頷いた。
歩き出す前に、一度だけ振り返る。
看護師に支えられ、泣き崩れるモコ。
ライカは小さく目を伏せた。
何も言わない。言えなかった。
紫音もまた、その光景を静かに見つめていた。
待合室には、モコの嗚咽だけが静かに響いていた。






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