※この作品はフィクションです。
現実の人物・団体とは関係ありません。
登場する都市・人物・組織・事件はすべて架空のものですが、
現実の「誰かの戦い」に勇気を与えることを目的としています。
あの日、総理は原稿を置いた。
― 鳥仁内閣「演奏妖精全面支援宣言」の真相 ―
2XXX年3月14日、午後2時17分。
予算委員会の空気が変わったのは、内閣総理大臣・鳥仁 航が手元の原稿をそっと置いたときだった。
野党からの追及は激しかった。
「政府は演奏妖精と呼ばれる子どもたちを、非公式に戦闘へ動員しているのではないか」
「国民の血税を、議会承認なく使っているのではないか」
——誰もが想定していた答えは、「慎重に検討してまいります」だった。
鳥仁はそう言わなかった。
「日本国政府は、彼女たちの活動を全面的に支援いたします!」
委員会室がざわついた。
「もし民意を問えとおっしゃるのであれば——私は今すぐにでも内閣総理大臣の任を降り、内閣を解散し、総選挙も辞さない構えであります」
この瞬間の映像は、翌朝までに1,200万回再生された。
なぜ、あの答弁が生まれたのか
鳥仁総理の側近によれば、前夜に総理執務室へ一通の報告書が届いていたという。
送り主はPPCI(ファントム対策特別調査機関)。
内容は非公開だが、関係者の一人はこう語った。
「総理は報告書を読んで、しばらく無言だった。そのあと、『彼女たちは何歳だ』とだけ聞いた」
翌日の答弁で、鳥仁は原稿を使わなかった。
「支援」の中身
あの答弁から3ヶ月後、政府が動いた。
設立されたのは特殊任務機関 公安第3課 演奏妖精特務隊。
演奏妖精たちに初めて「公務員」としての身分が与えられた瞬間だった。
装備の支給、医療サポート、そして戦闘後のメンタルケアプログラム——
それまで彼女たちが「当たり前」として受け入れてきたものが、
ようやく「異常なこと」として認識され始めた。
同時に2つの研究プロジェクトが立ち上がった。
ひとつはスピーカー兵装化研究。
楽器を弾けない人間でも演奏妖精の隣に立てるよう、高出力スピーカーを通じて演奏妖精の音を戦場に展開するシステムの開発だ。
ただし、研究チームの前には最初から大きな壁があった。
録音では意味がない。
演奏妖精が今この瞬間に感情を乗せて弾いた音だけがファントムへのエネルギーになる——
この原則を崩せない限り、スピーカーは「増幅する器」以上にはなれない。
もうひとつは楽器兵装化研究。
ヴァイオリン、ギター、それぞれの楽器そのものに戦闘補助機能を組み込む試みだ。
演奏妖精の身体的負担を減らし、スキル発動の精度を上げることが目標とされている。
どちらの研究も、まだ始まったばかりだった。
それでも、前に進む理由
あの答弁から1年が経った今も、ファントムは現れる。
演奏妖精たちの戦いは続いている。
ただひとつ変わったことがある。
彼女たちは今、一人じゃない。
音響都市ワークス 世界観資料 Vol.3 「政府公認化の経緯」



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