※この作品はフィクションです。
現実の人物・団体とは関係ありません。
登場する都市・人物・組織・事件はすべて架空のものですが、
現実の「誰かの戦い」に勇気を与えることを目的としています。
提出先:日本政府・防衛省・総務省特異現象対策本部
提出者:ファントム対策特別調査機関(PPCI)
報告日:令和7年10月5日
1. 調査目的
本報告書は、近年各地において確認されている「ファントム」と称される未知の実体発生現象について、その発生要因の特定および再現条件の仮説構築を目的として作成したものである。
ファントムは既存の生物・機械いずれの分類にも該当せず、音響エネルギーおよび精神共鳴反応との関連性が疑われている。
2. 調査体制
調査は以下の体制にて実施された。
- 主管機関:ファントム対策特別調査機関(PPCI)
- 協力機関:防衛省技術研究本部、内閣情報調査室、音響都市大学音響科学研究所、特務演奏部隊《Resonance》
- 調査期間:令和7年2月〜令和7年10月(計8ヶ月)
3. 調査方法
- 過去発生記録の解析
全国45件のファントム出現記録を解析し、発生地点・時間帯・音響環境・電磁波強度・人的要因を照合。 - 残響データの再構成実験
発生現場に残留した**音響共鳴波形(Echo Trace)**を再現する実験を実施。 - 演奏妖精(Echo Player)との神経共鳴測定
戦闘時における「演奏妖精」との精神・神経共鳴状態をモニタリングし、発生直前の脳波パターンを解析。
4. 主な観測結果
- 共鳴強度の急上昇と同時発生
全観測ケースにおいて、**特定周波数帯(42.7~43.2kHz)**の音響共鳴が極端に増幅する瞬間にファントム出現が確認された。 - 感情エネルギーとの相関
出現地点周辺で、高ストレス状態または強い喪失感を抱く個体が存在する確率が有意に高い。 - 人工音響装置との干渉
防音壁・拡声器・通信タワー等に使用される共鳴素子(Resonant Crystal)が、特定条件下で自己振動を起こし、空間的歪みを誘発する可能性が示唆された。 - 出現後の温度異常・時空屈折現象
発生直後の空間において平均気温が**−12.3℃低下**し、光の屈折率が0.87倍に変化する現象が一時的に確認された。
5. 仮説:ファントム発生モデル
現在、PPCIは以下の仮説を最有力として検討している。
【共鳴災害仮説(Resonance Disaster Hypothesis)】
「人間の強烈な感情エネルギー(特に“喪失”および“絶望”)が、周辺の音響構造物や共鳴結晶と干渉することで“エコーフィールド”を形成し、その臨界状態が物質化した存在こそがファントムである。」
この仮説によれば、ファントムは物理的生命体ではなく、“感情の残響”が具現化した現象体である可能性が高い。
6. 特記事項
- 初期出現地点の一つである「音響都市第三区コンサートホール跡地」では、発生直前に行われた追悼演奏の残響パターンが、上記臨界周波数と完全一致。
- ファントム発生直後、周辺の電子機器・通信網が約17秒間完全停止。
- 一部演奏妖精が、ファントム出現と同時に**「共鳴痛(Resonance Pain)」**と呼ばれる神経共鳴ショックを経験。
7. 今後の対応
- 共鳴結晶の製造・流通管理の強化
- 感情エネルギー検知センサーの設置拡大
- 演奏妖精の精神安定支援プログラム(Echo Mind Shield)の導入
- ファントム再現実験の段階的凍結および安全基準策定
8. 結論
本調査により、ファントム発生が音響共鳴・感情エネルギー・物理構造の三要素により誘発される可能性が高いことが示唆された。
ただし、意図的な発生制御は未確認であり、さらなる研究と倫理審査が必要である。
添付資料
- 附属資料A:全国出現地点マッピング
- 附属資料B:音響波形データ解析報告
- 附属資料C:共鳴素子構造解析結果
- 附属資料D:演奏妖精生体反応データ
提出者:
ファントム対策特別調査機関(PPCI)
統括研究官 綾瀬 明(A. Ayase)
主任分析官 天城 芹奈(S. Amagi)
主任技術官 篠宮 蓮(R. Shinomiya)



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